こんにちは、IMANARIです。海外で生活していると、「今は何ビザで滞在しているの?」と質問しあうことがよくあります。自分はと言いますと、ドイツ・ベルリンに移住して早3年が経ったのですが、1年目は皆さんご存知であろうワーキングホリデービザを使って渡独し、2年目からは現地の企業からサポートしてもらいワークビザを、そして今はフリーランサービザを取得してベルリン生活を送っています。
ドイツはヨーロッパ諸国の中でもフリーランスビザを取得できる国として注目を浴びています。ドイツの他にもスペインやオランダなどがフリーランスビザを取得できる国として挙げられますが、中でもドイツは比較的この種のビザが取りやすいと言われています。実際ベルリンに住んでいて気づいたことは、結構身の回りにはこのビザを使って滞在している方が多くいることです。日本人のみならず、他国からきた人もフリーランスビザを取得しているケースが多いな、と思いました。また驚いたのはドイツ国民でもフリーランサーとして仕事をしている人が多くいる、ということです。(無論、EU圏内の方やドイツ人はビザが必要ないということは言わずもがなですが)
結構フリーランスビザってどうすればいいかわからないから教えて、と質問を受けるので、今回は独身30代の自分が3年のフリーランスビザを取得した流れとその注意点を書き出していこうと思います。
(余談:おそらくフリーランスで仕事をしている人たちはドイツ人でない人がほとんどなんじゃないのかなーと思っていたのですが、以前、ドイツ大手保険会社の TK にフリーランサー用の保険サービスを申し込みに行ったときにも、担当してもらったドイツ人スタッフがフリーランスで TK に勤めていると言っていました。彼曰く、その日勤務していたほとんどのスタッフがフリーランサーだと言っていました。ベルリンではフリーランスという勤務システムが進んでいるんですね。)
1. 申請前の必要書類とその準備
それでは、このビザ申請に必要な①必要書類②申請手順③注意点に沿ってご紹介したいと思います。注)こちらは筆者が2020年に取得した際のものであり、個人の体験に基づいたものですので、申請の際は必ず正式ホームページよりご確認ください。私が用意した書類は以下の一覧通りです。
- パスポート
- 証明写真(35x34mm のよくある規定のもの)
- 住民登録書
- 賃貸契約書(住民登録申請時に出したものと一緒)
- CV(英語)
- ドイツでの銀行残高証明書
- 保険証明書
- 英文成績書
- フリーランスビザ応募理由書(英文)
- フリーランスビザ申請書(HPからダウンロードしたもの)
- Financing Plan(HPからダウンロードしたもの)
- Revenue Forecast(HPからダウンロードしたもの)
- 雇用契約書 最低2通(記載必須事項の決まりあり、ドイツ語)
これに加え、念のために以下の書類も持って行きました。(実際に提出はせず)
・日本の銀行口座の残高証明書とその日の為替レートをコピーした紙
・申請前まで就業していた会社からの給与明細
また上記以外にも、ある分野の専門職を専らにする人はそのライセンスの提示も求められます。こう見ると、こんなに集めさせて、そんなに俺のこと知りたいの?ドイツのお役所さんって思うかもしれませんが、実際にはそこまで時間がかからないと思います。以下がどうやって各書類を手配したかになります。
- 既に手元にあり。
- 既に手元にあり。日本で撮った証明写真と同じもの。
- 既に手元にあり。(これはドイツに移住して2週間以内に取得が必要とされているもので、フリーランスに関わらず、ドイツに住む人には必ず必要な書類です。住んでいる地域の Finanzamt で取得可能。)
- 既に手元にあり。(3を取得するときに必要になる書類なので3とセットでキープしておきましょう。)
- 既に手元にあり。普段から仕事に応募する際に使っていた英文CVをそのまま用意。
- 自身が利用しているオンライン銀行 N26 のアプリから残高証明を印刷。
- 自分の契約している保険会社に行って、フリーランス用の保険コースに変更したい旨と、ビザ申請に使える書類をくださいと伝えたら、その場で書類ゲット。
- ビザ申請前にちょうど日本へ一時帰国したので、卒業した大学に行ってその場で書類をゲット。(日本語の成績書しかない場合には、大学に英文成績書を送ってもらうか大使館などで翻訳してもらうといいかもしれません)
- 指定フォーマットがないので、グーグルドライブでA4サイズ1枚分、フリーランスとしてベルリンでこういうことをしたいんです私はっ!という内容を書き綴りました。
スムーズだ。実にスムーズである。普段トラブルまみれの自分としてはありえない。
10〜12に関してはドイツ移民局の HP から指定のフォームをダウンロードし記入していきます。少し時間がかかるかもしれませんが、英語の申請書類もあります。11と12についてはちょっとややこしい部分もありますが、のち3年間分の収支見込み(収入、費用、利益 etc)を記入していくことになります。
そして最後に雇用契約書です。一番時間がかかったのは、やはりこの雇用契約書2通でしょうか。ここでいう雇用契約書とは「われわれ〇〇社が△△(ビザ申請者)のことをこういった業務内容で、この期間、これぐらいの給料で雇う予定がありますよー」と確約してくれる、企業からもらえる書類です。一番最初に移民局にビザ申請に行った時、私はベルリン企業から1通、ベルリンで働く日本人フリーランサーの方から1通、日本の企業から1通の計3通を持って行きました。(これが後に、え、スタッフさんによって言ってることが違うんですが状態に陥る理由となります)
不要だったのかもしれませんが、雇用契約書に加え、前の職場の友人に推薦状(人柄、勤務態度などを踏まえ、この人ならビザ出しても大丈夫でしょうというようなもの)をドイツ語で書いてもらったのでこちらも提出。書いてもらえただけありがたいし、一応出しておいて損はないと思ったわけです。
上記書類を1つ1つわかりやすいように順番に並べてクリアファイルに収納。これで準備万端です。*これは私が申請した時の体験談とそれに基づいた意見なので、あくまで参考程度にしていただくようお願いします。

2. 申請からの流れ(自己の体験)
オンラインで予約申請。その申請当日はドイツ人の友人に付き添ってもらい、やや早めに出向いて控え室で自分の番号(オンライン予約時に番号が割り当てられます)が呼ばれるのを待っていました。
番号が呼ばれて部屋に行き、準備していた書類を言われる通りに提出。この時にはスタッフの人が書類を見て気になったところを数点質問されました。おそらく特にここで書類に関して問題がなければ、深く問い詰められることもないのかもしれません。(書類に不備があった場合にはわかりませんが。)上記の通りに申請後、「他の機関で書類チェックと審査があるので、長くても2ヶ月以内には結果をお知らせします」と伝えられてその日は帰宅となり、帰りに韓国料理屋で昼からマッコリ飲んで終了となりました。
その後…
2ヶ月経っても連絡なし。おそらくコロナの影響もあるしちょっと長引いているのかなと思いつつ、メールで連絡を入れてみました。そしてビザを申請してから3ヶ月後、メールがついに返ってきたので見てみると、
「ベルリンにある企業からもう1通雇用契約書を提出してください」
ん、ベルリン…?
まさかここでベルリン内にある企業からもう1通求められるとは、何とも予想だにしていなかった返答!聞いていた内容と違う!これは規制が変わったのか、それとも自分のケースだけなのか。他の人たちに聞いてみても、これは聞いたことないということだったので、自分のケースだけなのかもしれません。
ここでやっぱりドイツっぽいなーと思ったのが、コネで仕事を探すということ。知り合いの方が経営するベルリン企業で仕事オファーをいただくことができたため、雇用契約書を作成してもらいました。ドイツで仕事を得るには人との繋がりが大事だと何回も聞いてきましたが、ここにきてもこの繋がりによって救われたと思います。そこでメールで移民局にその雇用契約書を送ったら、数日も経たないうちに「◯月◯日のXX時に移民局まで来てください」という返信。
予約日当日。
時間通りに案内された部屋へ入ると「あれ、雇用契約書が足りてませんね」と言われました。おかしいなと思い、第1回申請時の契約書とメールで送った新しい契約書のことを伝えると、「あー日本の契約書のやつね。確かに。じゃあOK。」
(…え、えー?日本の契約書じゃダメだって言われたからベルリン企業のものを必死こいて提出したんですけど?うそーん。)
強いていうなら、ポケモンのギャラドスが、絵では空飛んでるのに「そらをとぶ」を覚えてくれないような感覚とでも言いましょうか。でもそれで承諾してくれたのならいいじゃないか、とその場で待つこと10分程度。なんとビザ3年分をもらうことができました。正直1年もらえればいいかな、ぐらいで期待していたのでめちゃくちゃ安心でした。(ちなみにこの時も拙いドイツ語と英語で問題なくクリアしました。スタッフの方も実際優しかったです)帰り道はそりゃルンルン。

3. 申請時における注意点(ビザはその日の運次第?)
1. 書類準備は万端に!
とにかく準備書類に不備があると、まずビザは下りないでしょう。当たり前のことですが、最低でも記載されている必要書類は必ず持っていくこと。正直、自分の場合は他の人たちの経験談と比べると恵まれていたのかも、と思うところはあるのですが、それでもやはり自分の生活を左右させるビザの取得というのは行き当たりばったりではなく、準備をしっかりしておくことが重要ということでしょうか。
個人的な意見ですが、一般的にビザ申請で重要なのは、私はドイツ政府にとって厄介者にはなりませんよ、という証明ができることが重要なんじゃないかと思われます。つまり、税金はしっかり支払うし稼ぎもあるので生きていけます、というような証明です。
おそらく世間には知られていない、役所側のルールやチェック項目などもあると思います。それならば、自分としてはできる限りのことをしていくのが正当です。何かこの面談中に人間性チェックされてるんじゃないかと思って、態度、表情、自信を見てもらっても怪しまれないぐらいなスタンスでいこうと決めていました笑
2. 残高証明に必要な貯金金額
気になる残高証明の金額ですが、HP などには載っていないので確かな情報とは言えませんが、(家賃+2~300ユーロ)× 12ヶ月分=1年分のビザに必要な残高というのを耳にしました。例えば仕事がなくなってしまった、という時でもそれなりの貯蓄で賄えるということが前提になっているのかもしれません。だからと言ってこれさえあれば大丈夫というわけでもないですし、もしかしたらこれ以下でも以上でも、何か指摘を受けるかもしれません。ですが1つの目安として、確かにこれぐらいに残高があった方が日々の生活に不安なく過ごせるのではないかと思います。
3. フリーランスビザ取得は長期戦と踏んでおく
ドイツ(少なくともベルリン)でのビザ申請の手続きは、とにかく忍耐が必要です。もし書類に不備があったり、追加資料を求められると余計に時間と手間がかかります。私の場合は、追加で書類を提出しなければならなかったため、最初の申請から6ヶ月程でビザがもらえました。またビザが取得できても、その後にはフリーランサーよう税金番号の取得もしなければなりません。こう見ると、あーフリーランスとかっ…って思うかもしれませんが、それでもやはり自分のやりたいことだったり、独立して仕事をすることにやりがいを感じたりできるので、初めて収入があったときは本当にうれしいものです。
ビザが降りるのを待っている間にも、語学学校に通っておく、専門分野の勉強に励む、コネクション作りなどできることはあるので、結局のところ時間の使い方は自分次第といったところでしょうか。自分は、以前違うブログでも書いたようにアプリで語学学習と Udemy オンラインコースを取り始めました。コースにもよりますが価格も安くてオススメです)
ということで簡単にまとめるとすれば、その日に担当してくれたスタッフの「さじ加減」が1番の決め手でしょう。(ってことは今まで言ったことは何だったんだよ、思うそこのあなた、お静かに。)こうすると聞こえが悪くなってしまいますが、いつもであればドイツ語ができない場合は結構軽くあしらわれると聞きますが、コロナの影響で「申請時には通訳やドイツ語を話せる友人の付き添いは控えてください」というような通達からすると、「まあしゃーないか」というようで、スタッフの方たちも英語でやりとりをしてくれる機会が多かったです。中には担当者がはじめから英語で会話をしてくれたという友人もいました。
繰り返しになりますが、上記の体験談は自分個人のものであり、申請者の状況によって変わるのはもちろんです。自分は独身だし、もともとワークビザからの切り替えだし、移民局にも何度か行ったことがあったので全体的な流れには慣れていたので心構えができていました。
実際にビザを取得できた時は、達成感半端ないなーという感覚があったのを覚えています。別にビザ取得しただけでまだ何かが始まったわけじゃないけれど、こうやって1つ1つ何かをクリアしていくことで自信だったり進歩できたりするんだろうな、と確信できるわけであります。
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